「明日はハイキングにでも行って来たらどうだい?近所にスリーロックっていう山がある。僕らも以前は家族でよくそこに行ってたよ。」
昨夜ホストファーザーのコリンにそう勧められたので、今日はその「スリーロック」なる山へハイキングに行くことにした。
天気は快晴、シャワーを浴びて朝食を食べると8時には家を出発した。登山口までは徒歩で行けるらしい。地図を用意していたが、幸い道はとてもわかりやすかったので、迷うことはなかった。
朝の空気は爽やかで気持ちが良い。スリーロックまでの道は今まで一度も通ったことがなく、とても新鮮だった。道の両脇にはたくさんの家が建ち並んでいる。絵本に出てきそうな小さくて可愛い家から、二階建ての立派な家まで、どれも個性的な家ばかりだった。小さくて良いから、ダブリンに家を一つ持てたらどれだけ素敵だろう。
スリーロックまで思ったほどの距離はなく、あっという間に着いてしまった。あっという間と言っても、家を出てから2時間ほど経っていたので、僕がそれだけダブリン郊外の家々に夢中になっていたということだろう。
山を登り始めたのが10時頃。最高の天気に恵まれたおかげで、スリーロックの自然は一層美しく輝いていた。色とりどりの花は香りを放ち、立派な松の木々は辺りの空気を清めていた。

標高が高くなるにつれ、そこから見える景色も一段と美しくなっていった。天気が良いおかげでずうっと遠くまで見渡すことができる。広大な景色とともに、心もすうっと広がっていくようだ。
僕の他にもハイキングに来ている人は大勢いて、皆清々しい表情をしていた。慌ただしい街を離れて、自然の中でのんびりと過ごす時間は誰しもに必要なものだと思う。より大きな景色に心を委ねると感じることもあると思う。

登り始めて2時間後、山の頂上に辿り着いた。頂上には三つの大きな岩があり、岩の上から見下ろす景色は壮大だった。辺りは静かで、そこには涼しい風が吹いている。ここが静かなのではなく、僕らの住む場所が騒がしすぎるのかもしれない。
どこまでもなだらかに波打つ稜線を眺めていると、なぜだか懐かしい気持ちになった。

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