今日は祝日で学校は休み。なので早起きする必要はなかったが、ゴロゴロしているのが勿体なくて、いつもの時間にシャワーを浴びて朝食を食べた。
朝食後は部屋へ戻って勉強をしていたが、あまりに退屈だったので外出することにした。行き先は決めていない。祝日ムードのダブリンをぶらぶらと散策してみるのも悪くない。
今日はこちらに来てからから一番良い天気だった。暖かくて、風がなくて、日差しは柔らかい。LUASに乗ってセント・ステファンズ・グリーンまで移動。手始めにグラフトンストリートを散策することにした。
ダブリンの街は祝日を楽しむ人々で溢れていた。ごった返していたと言った方が良いかもしれない。とにかくどこに行っても人混み状態。昼食時間だからということもあるだろう、カフェやレストランはどこも賑わっている。
マリー先生の話では、去年アイルランドの法律が変わり、以前までは禁止されていたグッドフライデイの日のお酒の提供が可能になったらしい。人々はそこら中のパブでお酒を楽しんでいた。マリー自身はそのことを良く思っていなかったので、グッドフライデイの日のお酒については賛否両論あるのかもしれない。
そもそも「グッドフライデー 」とは何か。グッドフライデー とは、「イースター(復活祭)」前の金曜日のことで、その日はイエス・キリストが十字架に架けられた日でもある。
ではなぜキリストが十字架に架けられた日をグッド(Good)というのかと、そこには諸説あり
1.「God’s Friday」 が「Good Friday」 になったという説
2.「God」が「Holy」として使われている説
などがあるらしい。
先ほど述べたお酒の提供の禁止や、グッドフライデーの日は肉を食べない、といった食べ物に関する慣習もある。
だがアイルランドにとって、グッドフライデーはまた違った意味も持っている。それは北アイルランド問題に関してだ。
北アイルランド問題とは、1960年代から30年間続いたアイルランドのプロテスタント系住民とカソリック系住民の間の武力紛争のことを指す。と同時にそれは、北アイルランドのアイルランド(共和国)への帰属を主張するナショナリストと、イギリスへの帰属を主張するユニオシストとの対立でもある。
紛争時に北アイルランドでは、3000人以上の方が亡くなり、40000人以上が負傷したらしい。まさに血で血を洗う惨状だった。そしてようやく、両国間で「ベルファスト合意」という和平合意がなされ、紛争は終結した。(合意がなされた後もIRAによる武力行使が続いたが、2005年に武装解除を発表)
僕はアイルランド人ではないので、彼らの気持ちを心から理解することは難しいが、「グッドフライデー」は彼らにとって平和のシンボルなのかもしれない。
今現在、イギリスのEU離脱で北アイルランド問題が再燃するのではないかといった懸念もある。僕としては、悲しい歴史を繰り返されないことを祈るばかりだ。
アイルランド銀行で開催されているシェーマス・ヒーニー展を見に行った。数日前にフランソワとファティマと訪れていたので、今回で二度目だ。
正直な話、彼が使う言葉は僕の英語力ではほとんど理解できない。けれど、土の匂い、風の感触、暗がりや雨の音、わずかに理解できる部分から立ち上がる断片的なイメージであっても、彼の言葉は僕の心を強く捉えた。ヒーニー展にすっかり感動した僕は、彼の著作「Death of a Naturalist」を帰りに購入。
その後は、セント・ステファンズ・グリーンの芝生で寝っ転がりながらヒーニーを読んだり、近くを流れる川辺でサンドウィッチを食べながらを「Death of a Naturalist」読んだ。内容はそこまでわからないが、手に取りたくなる本というものがあるのだと知る。

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