【サンティアゴ巡礼】フランス人の道 – 26日目 –

サンティアゴ巡礼記

『沈没〜後悔先に立たず〜』
5月31日 Murias de Rechivaldo → El Ganso 9.5km

 二日酔いになるなんていつ以来だろう。昨夜は胃のあたりがムカムカしてあまり良く眠れなかった。明け方一度目が覚めたが、気分が悪かったのでベッドで横になっていたらそのまま二度寝していた。

 7時頃起きると、気分は少し良くなっていた。すぐに支度をしてアルベルゲを出発。7時過ぎは出発するのに遅すぎる時間でないと思うのだが、他の巡礼は皆すでに出発していて僕が一番最後だった。

二日酔いでも歩かねばならない。

 幸い、歩き出すと次第に酒も抜けて体調は良くなってきた。この調子で徐々に調子を取り戻していくだろうと思っていたのだが、9kmほど歩いてエル・ガンソに着いた時にはすでにヘトヘトになっていた。

エル・ガンソ到着。

 身体に力が入らず足元はふらふらとして、とにかく座って休みたかった。疲れに加えて空腹も感じてきたので村の食料品店でパンとチーズを買い、店の前に置かれたテーブルで朝食を食べることにした。

食料品店。今日の僕にとってはオアシスだ。

 ボガディージョで空腹は満たされたが、疲れは抜けなかった。なので体力が回復するまでそこで休みながら日記を書くことにした。しばらくそうしていたが、気力も体力も戻ってくるどころか、日記を書き終えた時にはもはや腰をあげることすらできなくなっていた。

 他の巡礼達は、朝の爽やな空気の中で朝食やコーヒーを楽しみ、エネルギッシュに出発していく。僕はといえば、彼らの横で疲れと眠気と倦怠感で意識が朦朧としていた。これまで酒の飲み過ぎで何度も後悔してきたが、やはり今回も後悔先に立たずだった。

 今日はもうこれ以上どうにもならないと思ったので、今夜はエル・ガンソに一泊することにした。買い物をした食料品店はアルベルゲも経営しているらしく、お店の奥さんに今夜のベッドに空きがあるか尋ねた。

今夜の宿アルベルゲガビノ。とても快適だった。

 すると、どこからともなく長髪のお兄さんが現れて、店から少し離れたところにあるアルベルゲへと案内してくれた。食料品店のオーナー夫婦は父母、長髪のお兄さんは息子、という年場だった。家族経営なのだろうか。

 まだ真新しさの残るアルベルゲに着くと、客は僕一人で(まだ早朝だから)ベッドは選び放題だった。ここ最近、小さな村の出来立てのように新しいアルベルゲに泊まる機会が多いのだが、近年のカミーノブームに乗って、地元の村でアルベルゲを始める若者が増えているのかもしれない。夜の寒さに備えて暖炉の隣のベッドを確保すると、倒れ込むようにベッドに突っ伏し深い眠りに落ちた。

食料品店の猫。とても人懐こくて可愛い。

 しばらくすると、1人の巡礼がオスピタレオに連れられてやってきた。彼はブラジルからやって来た巡礼で気さくに話しかけてきてくれた。来年に迫った東京オリンピックの話になると、
「オリンピックの雰囲気は、カミーノと同じぐらい素晴らしいよ!」
と教えてくれた。「来年はもうオリンピックか」カミーノ後の自分がどうなっているかはわからないが、彼の話を聞いてオリンピックのその素晴らしい雰囲気を少しでも味わってみたいと思うようになった。

 僕が今日疲れ切っていて、早めに宿を取ったことを彼に話すと、

「人間休みたい日もある。皆一人一人ペースは違うよ。人に合わせる必要なんてない。」
と言ってくれた。それを聞いてなんだかほっとしたというか、温かい気持ちになった。
 僕が今日疲れ切っていて、早めに宿を取ったことを彼に話すと、

「人間休みたい日もある。皆一人一人ペースは違うよ。人に合わせる必要なんてない。」

と言ってくれた。それを聞いてなんだかほっとしたというか、温かい気持ちになった。

再び猫。長い時間遊んでいた。

 このアルベルゲには、”オスピタレオに用事がある巡礼は、中庭にぶら下げられた鐘を鳴らして呼び出す”というシステムがあった。

 なので、時折けたたましい鐘の音がアルベルゲ中に鳴り響き、その度にオスピタレオがドタバタとどこからともなく現れて対応していた。普段ならなんとも感じなかったかもしれないが、疲れてシエスタ中の自分には中々気の滅入るイベントだった。だがそれを除いてはとても快適なアルベルゲだった。

 夕方になると、朝に立ち寄った食料品店へ行き食料を買い込み、アルベルゲのキッチンでポモドールパスタを作って食べた。隣の席には家族連れの巡礼がいて、和気あいあいと夕食を食べていた。家族でカミーノを歩いている人達も少なくない。

 食後は村を散歩したり、村の猫と遊んだりして過ごした。今日は寝てばかりであまり有意義な1日とは言えなかった。

 明日は体調を万全にしてしっかり歩くぞ!気持ちを新たにした僕は、アルベルゲへ戻ると早めに寝袋に潜り込み、再び深い眠りに落ちた。

本日のアルベルゲ

Albergue Gabino (Hospital de Órbigo)

 Tel : (+34) 660 912 823
 Email : gabinoelganso@gmail.com
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 私営アルベルゲ
 営業期間 4月1日〜10月31日 12時〜20時 
 予約可

 ・宿代 
  二段ベッド 10€
  ダブルベッド(キッチン、トイレ付き)45€
  ダブルベッド(さらにベッド2台を置けるスペースあり)50€


 ・朝食 3€

 ・ベッド数 20

 ・キッチン(電子レンジ有り)
 ・冷蔵庫
 ・リビングルーム(兼キッチン)
 ・シャワー室 5
 ・お湯
 ・暖房設備
 ・洗濯場/物干し綱
 ・洗濯機(洗濯3€、乾燥4€)
 ・ロッカー
 自動販売機はないが、アルベルゲから50mぐらい離れた場所にtiendaがある
 ・コーヒーマシン
 ・コンセント
 ・薬箱
 ・インターネット(Free Wi-Fi)
 ・コンセント
 ・庭
 ・駐輪場

本日の支出

項目
パン、チーズ4.3
コーヒー1.2
宿代10
パスタ、ソース、ヨーグルト2.8
合計18.3
2,287円(1€=125円)

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