アイルランド留学13 「パブでおじさんと英語について語る」

ヴィア・フランチジェナ

 今朝起きたら全身筋肉痛だった。昨日の慣れない山登りが効いたらしい。今日はフランソワと遊ぶ約束をしていたが、朝はゆっくりして昼から会うことにした。

 ダブリンは今日も最高の天気だった。昼頃に家を出て、LUASで街中へと向かう。14時半にスパイアでフランソワと合流。特に予定は立てていなかったので、とりあえず二人で気の向くままに街歩きをした。

 オコンネルストリートを抜けテンプルバーを歩いていると、広場になった場所でフリーマーケットをやっていた。本、工芸品、その他色々な物が売られていて、眺めているだけで楽しい。しばらく物色した後、古本屋で売られていた「HOBBIT」を買った。映画のファンでもあるし、英語の勉強にもなると思ったからだ。

 フリーマーケットを一通り見て回ると、フランソワとどこかのパブで一杯飲もうということになった。僕は未成年ではないし、日本ではお酒も結構飲んでいた。だが、いざダブリンのパブでお酒を飲むとなると、これから大人の世界に足を踏み入れる子供のような気分になった。

 しばらく良さそうな(初心者でも入りやすそうな)パブを探して歩き、アイルランド銀行付近に一軒のパブを見つけた。特別他の店と違うわけではなかったが、僕らは何かに惹かれてそのパブに入ることにした。

 まだ真っ昼間だったが店内は薄暗く、雰囲気は夜だった。ソファ席は埋まっていたので、二人でカウンター席に座った。ドキドキである。カウンターの向こう側では店員さん達がテキパキと働いている。店員さんと常連らしき客との会話は全く理解できなかった。学校で習う英語と、ここで話されている言語は本当に同じものなのか?早速リアルイングリッシュの洗礼を受けた。

 とにもかくにも、僕らはオドオドしながらギネスを注文して二人で乾杯した。店の一角に備え付けられた大きなテレビではラグビーの中継をやっていた。どうやらアイルランドチームとフランスチームが戦っているらしい。僕らはギネスビールを飲みながら、おしゃべりしたり、ラグビーの試合を観たり、キョロキョロと周りを観察していた。

 いつからそこにいたかはわからないが、気づけば僕らの隣には地元の常連さんらしきおじさんがいて、お酒を飲みながらラグビーの試合を観戦していた。その彼が突然、「君達どこから来たんだい?」と話しかけてきた。

 年の頃50歳ぐらいだろうか、彼はとても気さくでダンディなアイルランド人のおじさんだった。僕らは一緒にラグビーを見ながら色々と話をした。彼はとても饒舌で、ラグビーに始まり、アイルランド人や英語、アメリカ人について話してくれた。

 僕らが語学学校の生徒であると知ると、

「まずはしっかりと考える。そしてゆっくり話す。リラックスすることが大切だよ。」

「リスニングはマインドの問題だ。」

と教えてくれた。おじさん曰く、「手っ取り早く英語を習得したいなら、地元のパブで働け!」ということだった。とにかく地元の人と話しまくることが大切らしい。ダブリンは訛りがないから英語を学ぶには最適らしい。おじさん自身もスペイン語を習得中らしい。今後スペイン語がとても重要になるからだと教えてくれた。

 僕らがリアルイングリッシュについて語っていると、すぐそばのソファに座っていたアメリカ人の奥様方が僕ら3人にサンドウィッチをくれた。理由はわからないが、僕らはそれを有り難く頂いた。

 昔多くのアイルランド人がアメリカに移住したらしく、そのアイリッシュ系アメリカ人達は故郷であるアイルランドをよく訪れるらしい。おじさんはそう教えてくれた。

 大人への一歩を踏み出し、地元のおじさんとギネスを飲み交わし、アメリカ人の奥様方からサンドウィッチまでもらう。今日はなかなか実りのある1日だった気がする。

建物が素敵だと、街歩きも楽しい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました