アイルランド留学26 「新たなる旅➀」

ヴィア・フランチジェナ

 今日はまるで2日分生きたかのような1日だった。昨夜のうちにほとんど荷造りは済ませていたが、6時半に起きて荷物の最終確認をした。完全に荷造りを終えると、シャワーを浴びて一階のキッチンへ。コリンも起きていて一緒に朝食を食べた。最後の最後まで冗談を言って楽しませてくれた。

 ホストファミリーのおかげで、この1ヶ月間素晴らしい時間を過ごすことができた。本当に感謝しかない。別れを惜しみつつ8時に家を出発。近所にあるバス停でバスに乗り、ダブリン空港へと向かった。

 移りゆくダブリンの景色を眺めているうちに、バスは空港へと到着。空港内で迷ったり、並ぶ列を間違えたりしながらも何とか飛行機に乗ることができた。やはりまだ空港には慣れない。

 機内は恐ろしいぐらいに冷房が効いていた。睡眠不足と移動疲れのせいかほとんどの時間寝ていて、時折起きては学校の教科書で英語の勉強をした。

 そうこうしているうちに飛行機はフランスのビアリッツ空港(Biarrits Airport)に到着。天気は快晴、意気揚々と入国手続き向かった。列に並び、順番が来ると入国審査官のおじさんにパスポート提示した。スタンプをポンと押されて「行っていいよ」と言われることを期待していたが、おじさんは何やらパスポートをジロジロ見て渋い顔をしている。ついには他の審査官を呼んで何やら話し始める始末。

 最終的に入国審査官のおじさんに入国審査場の裏に連れていかれた。「勘弁してくれ〜!」と思ったが、どうすることもできない。そこでおじさんは僕にいくつか質問をした。
「日本に住んでいるのか?」
「来た目的は?」
「フランスに滞在した後は日本に戻るのか?」
僕はだいぶ怪しまれているらしい。

 だが旅の目的について尋ねられた時に、
「カミーノ!」
そう答えると、おじさんの対応に変化が現れた。おじさんは僕にパスポートを返してくれて、おまけに笑顔で
「Good Walking!」
と言ってくれた。これがカミーノマジックなのか(おそらく違う)。

 おじさんがカミーノ経験者だったのかもしれないし、もしくは敬虔なクリスチャンだったのかもしれない。真相はわからないが、今振り返ってみても僕はその「カミーノ」の一言に助けられた気がしてならない。

 無事にフランスに入国した僕は、空港のインフォメーションセンターでバイヨンヌ(Bayonne)への行き方を尋ねた。とても親切な中年女性が「それならバスがあるよ!」と、空港の外のバス停の場所を教えてくれた。それにしても、ビアリッツ空港の職員の人達は皆穏やかで親切だった。空港特有のギスギスした感じなの微塵もなかった。

 バス停にはすでに数人の人がいて、皆旅行者の装いをしていたり、今からハイキングにでも行くような格好をしているの。もしかしたら僕らの目的は同じかもしれない。20分後、僕らはバスに乗り込みバイヨンヌへと出発した。

 

 

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